· HARUBOUYA · ai · 15 min read

PowerPointはもうAIが作れる。デザインの指定方法

「うちのフォーマットで作って」では伝わりません。配色・書体・余白を数値で書き、テンプレートごとスキルに登録すると、毎回同じ体裁の資料が出てきます。

AIが決まった書式でスライドを組み立てていくイメージ

AIに資料を作らせると、内容は悪くないのに体裁だけが自社のものと違います。そこから手で直して、結局1時間かかります。

原因は指示の出し方です。「うちのフォーマットで作って」と書いても、そのフォーマットがどこにも書かれていないため伝わりません。

書けば伝わります。そして一度書けば、次からは書かなくてよいです。その仕組みが「スキル」の登録です。

問題:フォーマットは文書になっていない

自社の資料の体裁は、次の2か所に分かれて存在しています。

どこにあるか中身
テンプレートファイル(.pptx / .potx)レイアウト、配色、書体
誰かの頭の中表紙は何を書くか、1枚に何項目まで載せるか、使ってはいけない表現

後者が文書になっていないため、人が作るときも品質がばらつきます。AIに頼むと、この曖昧さがそのまま出力に出るだけです。

仕組み:スキルとは何か

スキルは、手順書と素材をまとめた1つのフォルダです。中に指示の書かれたファイルを置いておくと、AIが必要なときに自分で読みに行きます。

置けるもの例
手順書SKILL.md(必須。これ1つでも成立します)
素材テンプレートの .pptx、ロゴ画像
参考資料配色の一覧、レイアウトの使い分け、やってはいけないことの一覧

要点は、必要になるまで読み込まれないことです。手順書の冒頭に書いた説明文だけが常に見えていて、内容が合致したときに本体が読まれます。そのため、資料が長くても普段の会話は重くなりません。

フォルダの構成

会社用の資料テンプレートを登録する場合、次の形にします。

company-deck/
├── SKILL.md          手順書。これだけは必須
├── template/
│   └── base.pptx     元になるテンプレート
└── reference/
    ├── colors.md     配色の指定
    ├── layouts.md    レイアウトの使い分け
    └── ng.md         やってはいけないこと

フォルダ名とスキル名は一致させます。ずれているとアップロードで弾かれます。

SKILL.md の書き方

冒頭に、2本の --- で挟んだ設定を書きます。

---
name: company-deck
description: 会社の標準テンプレートでPowerPointを作る。提案資料・社内報告・
  勉強会資料など、スライドを作る依頼のときに使う。
---
項目決まり
name小文字・数字・ハイフンのみ。64文字以内。フォルダ名と同じにします
description何をするかといつ使うかの両方を書きます。1024文字以内

description が一番重要です。AIはこの文だけを見て「このスキルを使うべきか」を判断します。「PowerPointを作る」だけでは、依頼の言い方が変わったときに使われません。「提案資料」「報告書」「勉強会」など、実際に使われる言い方を並べておきます。

その下の本文に、作る手順を書きます。

## 手順

1. `template/base.pptx` を開いて、その中のレイアウトだけを使う
2. `reference/colors.md` の配色以外の色は使わない
3. 1枚あたりの本文は3項目まで。超える場合はスライドを分ける
4. 作り終えたら `reference/ng.md` の項目を1つずつ確認する

デザインを具体的に指定する

ここが本題です。曖昧な言葉を全部、数値か固有名に置き換えます。

配色

色名では伝わりません。カラーコードと用途をセットで書きます。

用途指定
見出しの文字#1F2D2A
本文の文字#3A4A46
強調#0C6C96
罫線・区切り#C8D2D6
背景#FFFFFF
グラフ1本目#0C6C96
グラフ2本目#1E8AB2
グラフ3本目#8FB9C9

「使ってよい色はこれだけ」と書き切ります。書かないと、AIは足りない色をその場で作ります。

書体と大きさ

場所書体サイズ太さ
表紙のタイトルNoto Sans JP40ptBold
見出しNoto Sans JP28ptBold
本文Noto Sans JP18ptRegular
注釈Noto Sans JP12ptRegular
数値・英字Inter本文と同じRegular

和文と欧文を分けて書きます。「読みやすい大きさで」は指定になっていません。

余白と行間

項目指定
スライドの外周上下左右とも 1.2cm 以上
見出しと本文の間0.6cm
本文の行間1.4倍
図と説明文の間0.4cm

1枚あたりの情報量

項目上限
見出し1枚に1つ
本文の項目3つまで
1項目の文字数40字まで
図1枚に1つ

上限を書いておくと、内容が多いときに自動で分割されます。書かないと1枚に詰め込まれます。

やってはいけないこと

ng.md に列挙します。ここが一番効きます。

- テンプレートにないレイアウトを新しく作らない
- 指定した色以外を使わない(薄い色を自分で作らない)
- 文字を枠からはみ出させない。入らない場合はスライドを分ける
- 影・グラデーション・立体的な装飾を付けない
- 絵文字を使わない
- グラフに3D効果を付けない
- 「〜だと思われます」のような曖昧な表現を使わない

禁止は具体的に書きます。「装飾しすぎない」では判断できません。

レイアウトの使い分け

テンプレートの中のどのレイアウトを、どの場面で使うかを対応表にします。

場面使うレイアウト
表紙タイトルのみ
章の区切りセクション見出し
説明タイトル+本文
比較2分割
数値の提示タイトル+グラフ
最後まとめ

これを書かないと、毎回違うレイアウトが選ばれて、通して見たときに揃いません。

登録する

事前に必要な設定

スライドを実際に作るには、ファイルを生成する機能が要ります。

契約設定する場所
個人(Free / Pro / Max)設定 → Capabilities →「コード実行とファイル作成」を有効にします
Team / Enterprise管理者が Organization settings → Skills で「コード実行とファイル作成」と「Skills」の両方を有効にします

アプリから登録する

  1. 作ったフォルダをZIPファイルに圧縮します(フォルダごと圧縮する)
  2. ブラウザで Claude を開き、左側の「Customize」を選びます
  3. 「Skills」の欄にある「+」を押します
  4. 「Create skill」を選びます
  5. 「Upload a skill」を選びます
  6. 作ったZIPを選んでアップロードします
  7. 一覧に表示されたら、右のトグルを押して有効にします

アップロードに失敗する場合、原因はだいたい次のどれかです。

症状原因
「必須ファイルがない」と出ますZIPの直下に SKILL.md がありません。フォルダごと圧縮できていません
名前が不正と出ますname に大文字・日本語・記号が入っています
名前が一致しないと出ますフォルダ名と name が違います

手元の環境で使う場合

ファイルとして置くだけで読み込まれます。

用途置く場所
自分だけで使います~/.claude/skills/company-deck/SKILL.md
チームで共有しますプロジェクトの .claude/skills/company-deck/SKILL.md

後者はリポジトリに含めて共有できます。テンプレートを更新したら、同じ場所のファイルを差し替えるだけで全員に反映されます。

なお、アプリと手元の環境でスキルは共有されません。両方で使いたい場合は、それぞれに登録します。

確認する

出てきたファイルをそのまま配らないでください。次の5つだけ目で見ます。

確認する箇所見るところ
配色指定していない色が混ざっていないか
書体和文と欧文が混在していないか
はみ出し枠から文字が出ていないか
重なり図と文字が重なっていないか
数値元資料の数字と一致しているか

3つ目と4つ目は、縮小表示にして全ページを一覧で見ると早いです。PowerPointの「表示」タブから「スライド一覧」を選ぶと、崩れているページだけが目で分かります。

失敗例

失敗何が起きるか代わりにやること
「うちのフォーマットで」と指示しますそれらしいが違うものが出ます配色・書体・余白を数値で書きます
description を1文で済ませます依頼の言い方が変わると使われません実際に使われる言い方を並べます
使ってよい色を書きません足りない色をその場で作られます使う色を書き切ります
1枚あたりの上限を書きません1枚に詰め込まれます項目数と文字数の上限を書きます
禁止を抽象的に書きます判断できず、守られません「影を付けない」のように具体的に書きます
テンプレートを同梱しませんレイアウトが毎回変わります.pptx をフォルダに入れます
出力をそのまま配りますはみ出しや重なりに気づきませんスライド一覧表示で全ページ確認します
一度作って更新しません実際の運用とずれていきます直した箇所を ng.md に足していきます

最後の行が続けるコツです。手で直した箇所は、次から直さなくて済むように書き足します。この積み重ねで、手直しの量が回を追うごとに減ります。

まとめ

  • 伝わらない原因は、フォーマットがどこにも書かれていないこと
  • スキルは手順書と素材をまとめたフォルダです。SKILL.md 1つから始められます
  • description には何をするかと、いつ使うかの両方を書きます
  • 配色はカラーコード、書体はpt、余白はcmで指定します。曖昧な言葉を残さないでください
  • 1枚あたりの上限を書くと、内容が多いときに自動で分割されます
  • 禁止事項は具体的に書きます。「装飾しすぎない」では判断できません
  • 登録はZIPをアップロードするだけです。手元の環境なら決まった場所に置くだけ
  • 手で直した箇所を書き足していくと、手直しの量が回を追うごとに減ります

最初にやることは、手元にある一番よくできた資料を1枚開いて、色と文字サイズを実際に測ることです。指定はそこから書き起こします。

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