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「データ分析で効果があった」と言えるまでに必要なこと

施策の後に数字が上がりました。それだけでは効果があったと言えません。比較対象の置き方、期間の切り方、差が誤差かどうかの見分け方を書きます。

ノートPCのグラフを虫眼鏡で確認し、目的とKPIを点検する様子のイラスト

施策を出しました。翌週の数字が上がりました。報告では「効果がありました」と書きます。

ここで止まると、次に同じ施策を打っても再現しません。上がったことと、施策が上げたことは別だからです。

何があれば「効果があった」と言えるのか。順に書きます。

問題:前後比較だけでは分からない

施策の前後で数字を比べるやり方には、施策以外の理由が全部混ざります。

混ざるもの例
季節月末、給料日、連休、気温
他の施策同じ週に打った広告、メール配信
外の出来事天気、報道、競合のセール
自然変動何もしなくても、週によって上下します

前週比が5%上がったとして、そのうち施策ぶんが何%かは、前後比較だけでは分けられません。

仕組み:比較対象を作る

効果を言うには、施策を受けていない相手が要ります。

方法内容精度手間
A/Bテスト対象をランダムに2つに分け、片方だけに出します高いです仕組みが要ります
対象外グループとの比較施策の対象外の層と、同じ期間で比べます中低いです
前年同期比1年前の同じ期間と比べます低いです低いです
前後比較のみ施策の前後で比べます参考程度なし

可能なら常にA/Bテストです。ランダムに分けている限り、季節も天気も両方に等しくかかるため、差分が施策の効果になります。

A/Bテストが使えない場合

全員に出さざるを得ない施策(サイト全体の改修など)では、次善の策を取ります。

  1. 施策の影響を受けない指標を1つ選び、同じ期間で動いていないことを確認します
  2. 同じ期間に他の施策を打たないでください
  3. 施策の対象になりにくい層(例:別のチャネルから来た人)を参照に使います

期間の切り方

前後で同じ長さにする

「施策前1週間」と「施策後3日」を比べないでください。同じ曜日構成になるよう、7日単位で揃えます。

施策直後を含めない

出した直後は、一時的に跳ねることが多いです。

期間扱い
出した当日〜2日除外します。告知効果と物珍しさが混ざります
3日目〜ここから計測します
2週間以降定着したかを見ます

必要な期間の決め方

どれくらいの差を見つけたいかで、必要な期間が決まります。

見つけたい差必要な件数の目安(各グループ)
大きい差(CVRが2倍など)各100件程度の成果
中くらい(+30%)各300件程度
小さい差(+5%)各数千件

「+5%を検出したい」なら、1日10件しか成果がない施策では何か月もかかります。始める前に、期間が現実的かを確かめます。

差が誤差かどうか

指標を1つに決める

始める前に、判断に使う指標を1つだけ決めます。

決めること例
主指標購入率
副指標(悪化していないかの確認)平均注文金額、問い合わせ件数
判断の基準購入率が相対で10%以上改善したら採用

後から指標を選ばないでください。5つの指標を見れば、そのうち1つはたまたま良く見えます。

目安

各グループの成果件数言えること
30件未満数字で語りません。「判断できない」と書きます
30〜100件倍近い差なら傾向として扱えます
100〜500件20%以上の相対差
500件以上10%以上の相対差

正式に言うなら、比率の差の検定(カイ二乗検定など)で確かめます。表計算ソフトでも計算できるため、報告の前に一度は通しておきます。

言い方を揃える

状況書き方
差が十分「購入率が2.1%から2.6%へ、相対で24%改善」
差が小さいです「差は確認できませんでした」
件数が足りません「件数が少なく、判断できない。◯月まで継続します」

「効果があったと思われる」で濁さないでください。3つのどれかで書きます。

やること

手順1. 始める前に1枚書く

施策:
主指標:
比較の方法:(A/B/対象外との比較/前年比)
計測期間:◯月◯日〜◯月◯日(直後2日は除外)
採用する条件:主指標が◯%改善
見る副指標:

この紙を施策の前に作ります。後から作ると、結果に合わせて条件が動きます。

手順2. 除外する条件を決める

除外するもの理由
社内からのアクセス動作確認が混ざります
自動化された巡回人の行動ではありません
キャンセル・返品成果として数えません
期間中の障害発生時間条件が違います

手順3. 集計してから中身を見る

主指標の結果を出したあとで、属性別や流入別に分けて見ます。ただし、分けた結果で判断を変えません。分けた結果は次の仮説に使います。

手順4. 結果を残す

採用・不採用にかかわらず、1施策1行で記録します。

日付施策主指標結果判断
2月3日カート内の送料表示購入率2.1%→2.6%採用
2月10日ボタンの色変更購入率差なし不採用

不採用の記録が一番価値があります。同じことを半年後にもう一度試すのを防げます。

失敗例

失敗何が起きるか代わりにやること
前後比較だけで効果を言います季節や他施策の影響が混ざります比較対象を作ります
結果を見てから指標を選びますどんな施策でも「効果あり」になります主指標を1つ、事前に決めます
施策直後から計測します一時的な跳ねを効果と誤認します最初の2日を除外します
期間の長さが前後で違います曜日構成の差が混ざります7日単位で揃えます
件数が少ないまま結論を出します偶然を再現性のある成果として扱います「判断できない」と書きます
同じ週に複数の施策を打ちますどれが効いたか分けられません期間をずらします。無理ならA/Bで分けます
不採用の結果を残しません同じ施策を繰り返します1施策1行で記録します

まとめ

  • 上がったことと、施策が上げたことは別です。前後比較だけでは分けられません
  • 効果を言うには、施策を受けていない比較対象が要ります。可能なら常にA/Bテスト
  • 主指標は1つ、始める前に決めます。後から選べばどんな施策も成功になります
  • 施策直後の2日は除外します。期間は7日単位で揃えます
  • 見つけたい差の大きさから、必要な件数と期間を先に見積もります
  • 「効果があったと思われる」で濁さないでください。差がある/ない/判断できないで書きます
  • 不採用の記録を残します。同じ施策の繰り返しを防げます

最初にやることは、施策を出す前に7行の紙を書くことです。これがあるだけで、報告の会話が「上がりましたね」から「採用します」に変わります。

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