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店舗送客の効果を、どう測るか

オンラインの施策が来店につながったかは、完全には測れません。測れる範囲と測れない範囲を切り分け、何をもって効果ありとするかを決める手順を書きます。

オンラインの接触から来店までを測る方法を並べた図

「オンラインの施策で来店が増えたか」を聞かれて、答えに詰まる場面は多いです。ECなら購入まで一本でつながりますが、来店は途中で線が切れます。

ここで完全に測ろうとすると、いつまでも始まりません。測れる範囲を先に決めて、それ以外は測れないと明示します。この割り切りが要ります。

問題:線が切れる場所

オンラインの接触(広告・メール・アプリ通知)
   ↓  ここは記録が残る
サイトやアプリでの行動
   ↓  ← ここで線が切れる
来店
   ↓
店舗での購入

切れる理由は単純で、来店した人が「オンラインで見たから来た」と名乗らないからです。名乗らせる仕組みを作るか、推定するかのどちらかになります。

測り方の4つの型

型仕組み精度手間
1. 引換の仕掛けクーポン・予約・取り置きを経由させます高いです中
2. 会員IDでの突合オンライン接触と店舗購入を会員IDでつなぎます高いです高い(統合が前提)
3. 対象と非対象の比較配信した層としなかった層で来店率を比べます中低いです
4. 地域・期間の比較施策を出した地域と出さない地域で比べます低いです低いです

まず3番から始めます。仕組みを作らずに始められて、比較の考え方も身につきます。

型1:引換の仕掛けを経由させる

オンラインから店舗へ行くときに、必ず通る場所を作ります。

仕掛け測れるもの注意
店舗で使えるクーポン使用された件数使わない人は測れません
取り置き・在庫確認申込件数と来店率対象商品が限られます
来店予約予約数と来店率予約文化のない業態では使えません
アプリの提示提示件数店舗オペレーションの協力が要ります

**どれも「使った人しか測れない」**です。使用率が3割なら、実際の送客はその3倍以上あります。ここを混同しません。

計測の設計は次のとおりです。

記録する項目用途
発行日時・発行経路どの施策からか
使用日時・使用店舗どこで、いつ
会員ID同一人物の追跡
購入金額効果の金額換算

型2:会員IDで突合する

店舗とECの会員が統合されていることが前提です。

オンラインで接触した会員IDの一覧
   ↓
その中で、一定期間内に店舗購入した人の数
   ↓
接触していない会員の来店率と比較する

この型の落とし穴は、接触した人がもともと来店しやすい層であることです。メールを開く人は、もともと関心が高いです。この差を施策の効果と誤認しやすいです。

対処は次のどれかです。

対処内容
ランダムに配信を分けます同じ条件の人を2つに分け、片方にだけ配信します
属性を揃えて比べます購入回数・最終購入日が近い層どうしで比べます
過去の来店率で補正します施策前の来店率の差を引きます

ランダムに分けるのが最も確実です。配信対象を1割だけ除外し、その1割と比べます。

型3:対象と非対象を比べる

仕組みが無くてもできます。

配信対象:10,000人 → 期間内に来店購入 420人(4.2%)
配信しない:1,000人 → 期間内に来店購入 310人 ÷ 1,000 = 3.1%

差:1.1ポイント
施策による来店:10,000 × 1.1% = 110人

配信しない層を必ず作ります。「全員に配信したほうが売上が立つ」という反論は出るが、比較対象がないと効果を一度も証明できません。

除外する割合は5〜10%で足ります。

型4:地域や期間で比べる

店舗ごとに施策を出し分けられる場合に使います。

比べ方注意
施策を出した地域と出さない地域商圏の規模・客層を揃えます
施策の前後の期間季節・天候・近隣の競合の影響が混ざります

精度は低いです。他の型が使えない場合の最後の手段として扱い、結論は「傾向」までにとどめます。

何をもって効果ありとするか

測り方を決めたら、判断の基準を先に書きます。

施策:
測り方:(型1〜4のどれか)
主指標:来店購入率
比較対象:配信除外群(全体の10%)
計測期間:配信日から14日間
効果ありとする条件:来店購入率が相対で15%以上高い
金額換算:来店購入率の差 × 対象人数 × 平均購入金額

期間を先に決めます。来店は時間差が大きく、期間を伸ばせばいくらでも数字が積み上がります。

測れないものを明示する

報告資料に1行入れます。

※ 本施策の効果は、クーポン使用者および会員IDで突合できた
  購入のみを対象としている。会員証を提示しない購入、
  現金のみの購入は含まない。実際の送客はこれより多い。

測れない範囲を書いたほうが、数字が信用されます。書かずに過小な数字を出すと「効果がない」と誤読されます。

やること

手順1. 店舗側の購入データに何が残るか確認する

確認する項目有無
会員ID
購入日時
店舗コード
商品・金額
決済方法

会員IDが残っていなければ、型2は使えません。ここで使える型が決まります。

手順2. 会員証の提示率を数える

店舗購入のうち、会員IDが記録されている割合を出します。

提示率使える型
7割以上型2が使えます
3〜7割型2は参考値。型1・3と併用
3割未満型1・3を中心にします

手順3. 配信除外群を作る

配信システムの設定で、対象の5〜10%を毎回除外します。除外する人は固定しません。毎回ランダムに選び直します。

手順4. 1施策1行で記録する

日付施策測り方対象除外群差判断

失敗例

失敗何が起きるか代わりにやること
完全に測ろうとします設計が終わらず、何も始まりません測れる範囲を決めて始めます
配信除外群を作りません効果を一度も証明できません5〜10%を毎回除外します
接触した層としない層をそのまま比べますもともとの関心度の差を効果と誤認しますランダムに分けます
クーポン使用数を送客数として報告します実際より大幅に少なく見えます測れない範囲を明記します
期間を決めずに集計します数字を後から積み増せます配信前に期間を固定します
測れない範囲を書きません「効果がない」と誤読されます脚注に1行入れます
除外する人を固定します特定の層が常に施策を受けられません毎回ランダムに選び直します

まとめ

  • 来店は途中で線が切れます。完全に測ろうとすると始まりません
  • 測り方は4つです。引換の仕掛け/会員IDの突合/対象と非対象の比較/地域・期間の比較
  • 仕組みが無くても、配信除外群との比較は今日から始められます
  • 接触した層はもともと関心が高いです。ランダムに分けないと効果を過大に見てしまいます
  • クーポン使用数は送客数ではありません。使わない人が大半
  • 測れない範囲を脚注に書きます。書いたほうが数字が信用されます
  • 期間を先に固定します。来店は時間差が大きく、伸ばせば積み上がります

最初にやることは、店舗の購入データに会員IDがどのくらい残っているかを数えることです。その割合で、使える測り方が決まります。

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