· HARUBOUYA · ai · 12 min read
議事録をAIに書かせるときの、渡し方と型
文字起こしを丸ごと渡しても、読める議事録にはなりません。渡す前にやること、出力の型の決め方、固有名詞の事前登録、そして必ず人が直す箇所を書きます。

会議の文字起こしをAIに渡して「議事録にして」と頼むと、それらしいものが出てきます。ただしそのままでは使えないことが多いです。
理由は単純で、議事録に必要なのは会話の要約ではなく、決まったことと、次に誰が何をするかだからです。要約を頼めば要約が返ってきます。
渡し方と型を決めれば、手直しはほぼ無くなります。順に書きます。
問題:要約は議事録ではない
| 出てくるもの | 実際に必要なもの |
|---|---|
| 誰が何を言ったかの流れ | 決まったこと |
| 論点の整理 | 決まらなかったことと、次にいつ決めるか |
| 全体の要約 | 誰がいつまでに何をするか |
| 会議の雰囲気 | (不要) |
読み手が議事録を開く理由は3つしかありません。「何が決まったか」「自分は何をするか」「あの件はどうなったか」の3つです。この3つに答える形にします。
渡す前にやること
1. 固有名詞の一覧を先に渡す
文字起こしで最も崩れるのが固有名詞です。社内の略語、システム名、人名は、音だけでは正しく変換されません。
会議の前に、次のような一覧を用意しておきます。
参加者:A部長、B(開発)、C(企画)
システム名:受注管理、在庫連携、会員基盤
社内の略語:定例=週次の進捗会議/棚卸し=課題の洗い出しこれを文字起こしと一緒に渡し、**「この一覧にある表記に統一する。一覧にない固有名詞は、聞こえたまま残してカッコで囲む」**と指示します。
カッコで囲ませるのが要点です。自信のない箇所が目で分かるため、直す場所が一目で分かります。
2. 会議の種類を伝える
同じ形式では収まりません。
| 会議の種類 | 議事録の重心 |
|---|---|
| 定例の進捗 | 前回からの差分、遅れているもの、次の宿題 |
| 仕様の検討 | 決定と、その理由。見送った案とその理由 |
| 障害の対応 | 時系列、影響範囲、暫定対応と恒久対応 |
| 顧客との打ち合わせ | 相手の要望、こちらの回答、持ち帰り事項 |
「これは仕様検討の会議」と伝えるだけで、出力の構造が変わります。
3. 前回の議事録を一緒に渡す
定例なら、前回のものを渡します。継続している話題を正しくつなげられるようになり、「前回の宿題が終わったか」まで書かせられます。
出力の型
型を指定しないと、毎回構造が変わります。次の形を指示に含めます。
## 決まったこと
- (決定内容):(決めた理由を1行)
## 決まらなかったこと
- (論点):次に決める場・期限
## やること
| 内容 | 担当 | 期限 |
## 補足
- (決定に至らないが記録しておく発言)
## 確認が必要な箇所
- (聞き取りが不確かな部分)| 見出し | 入れる理由 |
|---|---|
| 決まったこと | 議事録の本体。理由を1行付けると、後から蒸し返されません |
| 決まらなかったこと | ここを書かないと、宙に浮いた論点が消えます |
| やること | 担当と期限のない行は書かせません |
| 補足 | 判断材料になった発言を残します |
| 確認が必要な箇所 | 聞き取りが不確かな箇所を集めます |
最後の見出しが効きます。AIに「分からなかったところ」を明示させると、手直しがそこだけで済みます。
指示文の例
添付は会議の文字起こしです。次の条件で議事録を作成してください。
会議の種類:仕様の検討
参加者と固有名詞:(一覧を貼る)
条件:
- 出力は下の型に従う
- 発言の要約ではなく、決まったことと次の行動を中心に書く
- 担当者または期限が特定できない行動は「やること」に入れず、
「確認が必要な箇所」に移す
- 固有名詞は一覧の表記に統一する。一覧にないものは
聞こえたまま残し、カッコで囲む
- 発言者の意図を推測して補わない。言われていないことは書かない
型:
(上の型を貼る)「推測して補わない」の1行を必ず入れます。これがないと、話の流れから自然な結論を作文してしまいます。
必ず人が直す箇所
出力をそのまま配らないでください。次の4つだけは目で確認します。
| 確認する箇所 | 見るところ |
|---|---|
| 数値 | 金額、件数、日付。文字起こしの時点でずれることがあります |
| 担当者 | 「やります」と言った人と、担当として書かれた人が一致しているか |
| 期限 | 「来週まで」が具体的な日付に変換されているか |
| 決定と検討中の区別 | 「〜でいきましょう」が決定か、方向性の確認かは音声だけでは分かれません |
4つ目が一番危ないです。決まっていないことが決定として記録されると、後で揉めます。
やること
手順1. 型を1つ作って固定する
会議の種類ごとに型を作り、文書ツールに置きます。毎回同じものを貼り付けて使います。
手順2. 固有名詞の一覧を育てる
一度作った一覧は、会議のたびに追記していきます。新しいシステム名や略語が出たら足します。この一覧の精度が、手直しの量をそのまま決めます。
手順3. 配る前に自分で1回読む
読む観点は1つだけです。「自分がこの会議に出ていなかったとして、次に何をすればいいか分かるか」です。
分からなければ、「やること」の書き方が足りません。
手順4. 出席者に24時間以内に配る
記憶が残っているうちに配ると、誤りが指摘されます。時間が経つほど誰も直しません。
失敗例
| 失敗 | 何が起きるか | 代わりにやること |
|---|---|---|
| 「議事録にして」とだけ頼みます | 会話の要約が出てきて、決定が埋もれます | 型と会議の種類を指定します |
| 固有名詞の一覧を渡しません | 社名やシステム名が誤変換され、全文を直すことになります | 一覧を渡し、ないものはカッコで囲ませます |
| 推測を止めていません | 言われていない結論が書かれます | 「推測して補わない」を指示に入れます |
| 担当と期限のない行動を書かせます | 誰もやらないタスクが並びます | 特定できないものは「確認が必要な箇所」へ |
| そのまま配ります | 数値と決定の区別が誤ったまま共有されます | 数値・担当・期限・決定の4点だけ目で確認します |
| 前回の議事録を渡しません | 継続中の論点がつながりません | 定例では前回分も一緒に渡します |
| 配るのが数日後になります | 誰も内容を覚えておらず、誤りが直りません | 24時間以内に配ります |
まとめ
- 議事録に必要なのは要約ではなく、決まったことと、誰がいつまでに何をするか
- 固有名詞の一覧を先に渡します。一覧にないものはカッコで囲ませると直す箇所が一目で分かります
- 会議の種類を伝えるだけで、出力の構造が変わります
- 型に「確認が必要な箇所」を入れると、手直しがそこだけで済みます
- 指示に「推測して補わない」を必ず入れます
- 人が確認するのは4つだけです。数値・担当・期限・決定と検討中の区別
- 24時間以内に配ります。時間が経つほど誰も直しません
最初にやることは、固有名詞の一覧を1つ作ることです。手直しの量は、この一覧の精度でほぼ決まります。
参考になったら、いいねを押してください。





