· ハルボウヤ · marketing · 10 min read
SNSマーケティングで何を見て、何をやるか
フォロワー数を目標にすると打ち手を誤る。目的の決め方、追うべきKPI、週次で回す具体的な作業を整理する。

SNS運用の相談で最初に出てくる数字が「フォロワー数」であることが多い。ただしフォロワー数を目標に置くと、増やすための施策に寄っていく。プレゼント企画でフォロワーは増えるが、事業の数字は動かない。
何を見て、何をやるか。順に整理する。なお特定のプラットフォームの機能には踏み込まず、どこでも通用する形で書く。
1. 目的を1つに決める
SNSでできることは大きく3つ。同時に3つは追えない。
| 目的 | 何が起きれば成功か | 向いている状況 |
|---|---|---|
| 認知 | 知らなかった人に届く | 新規事業、知名度が低い |
| 獲得 | サイトに来て申し込む | 商材が明確、購入までが短い |
| ファン化 | 既存顧客が離れない、再訪する | リピートが効く商材 |
目的が違えば、投稿の内容も、見る数字も変わる。認知を狙いながら獲得のCVRを詰めるといった追い方をすると、どちらも中途半端になる。
半年は1つに絞る。
2. 主なKPI
指標は中間と最終に分けて考える。中間指標は日々動かせるもの、最終指標は事業の数字。
中間指標(運用で動かす)
| 指標 | 計算 | 何が分かるか |
|---|---|---|
| リーチ | 届いた人数 | どれだけ広がったか |
| インプレッション | 表示回数 | 露出の総量 |
| エンゲージメント率 | 反応数 ÷ リーチ | 内容が刺さったか |
| 保存率 | 保存数 ÷ リーチ | 後で見返す価値があったか |
| シェア率 | 共有数 ÷ リーチ | 人に教えたくなったか |
| プロフィール遷移率 | プロフ表示 ÷ リーチ | 発信者に興味を持ったか |
| フォロー転換率 | フォロー数 ÷ プロフ表示 | プロフィールが機能しているか |
保存率とシェア率を重く見る。 「いいね」はその場の反応だが、保存と共有は「後で使う」「人に教える」という行動で、より強い関心を示す。多くのプラットフォームで、こうした行動が多い投稿はさらに広がりやすい。
最終指標(事業の数字)
| 指標 | 見方 |
|---|---|
| サイト遷移数 | SNS経由の流入 |
| CVR | 遷移した人のうち申し込んだ割合 |
| CPA | かかった費用 ÷ 獲得数 |
| 指名検索数 | 社名・商品名での検索数の推移 |
| UGC数 | 顧客が自発的に投稿してくれた数 |
指名検索数は認知の指標として使える。 「SNSの効果が見えない」という場合でも、指名検索が伸びていれば認知は進んでいる。
フォロワー数の扱い
フォロワー数はKPIではなく結果として見る。目標に置かない。
理由は2つ。プレゼント企画などで簡単に増やせてしまうこと。そして、増えたフォロワーが購入層でなければ、以後のリーチの質が下がること。
3. やるべきこと
誰に何を伝えるかを1つに決める
1アカウントで複数のテーマを扱うと、フォローする理由が伝わらない。「〇〇について発信している人」と一言で言える状態にする。
投稿の型を3つ作る
毎回ゼロから考えると続かない。型を3つ用意して回す。
| 型 | 内容 | 狙う指標 |
|---|---|---|
| 解説 | 知識を分かりやすく整理する | 保存率 |
| 事例 | 実際にやったこと、結果 | シェア率、信頼 |
| 人柄 | 考え方、日常、失敗談 | エンゲージメント率 |
比率の目安は解説5、事例3、人柄2。解説だけだと人格が見えず、人柄だけだと価値がない。
本数を決めて守る
毎日投稿を根性で始めると、2か月で止まる。続く本数に設定する。週2本を1年続けるほうが、毎日を2か月やめるより効く。
投稿の作成はまとめて行い、公開は分散させる。作る日と出す日を分けるだけで続きやすくなる。
計測できる状態にする
ここが抜けていると、何が効いたか分からないまま続けることになる。
- プロフィールのリンクにUTMパラメータを付ける
- 投稿ごとにリンクを変える場合も、パラメータで識別できるようにする
- サイト側で、SNS経由の流入とCVを分けて見られるようにする
計測の設計は、投稿を始める前にやる。後から遡って測ることはできない。
振り返りは「型」単位で行う
投稿1本ごとに一喜一憂しない。月1回、型ごとに平均値を比較する。
| 見る観点 | 例 |
|---|---|
| どの型の保存率が高いか | 解説が高ければ解説を増やす |
| どのテーマが伸びたか | 上位5本に共通する話題を探す |
| どの時間帯が届いたか | 3か月分で傾向を見る |
1本のバズは再現できない。型ごとの平均で判断する。
4. やらなくてよいこと
| よくやること | なぜ避けるか |
|---|---|
| フォロワー数を目標にする | 購入層でないフォロワーが増えると、以後のリーチの質が下がる |
| 全プラットフォームを同時に始める | 分散して、どれも中途半端になる。1つで型ができてから広げる |
| 毎日投稿を根性で続ける | 続かない。本数より継続期間 |
| 他社の真似をそのまま | 相手と自社では商材も読者も違う。参考にするのは型であって内容ではない |
| 反応がないから方向転換を繰り返す | 最低3か月は同じ方針で続けないと判断できない |
5. リスクの管理
運用を始める前に決めておく。
- 投稿前の確認者を決める。1人で完結させない
- 画像・音楽・引用の権利を確認する。他社の素材をそのまま使わない
- ネガティブな反応が来たときの対応方針を決めておく。即座に反応しない、削除の基準、社内の連絡先
- アカウントの管理者を複数にする。担当者の退職でログインできなくなる事故は珍しくない
炎上対応は、起きてから考えると判断を誤る。起きる前に手順を1枚書いておく。
まとめ
- 目的を認知・獲得・ファン化のどれか1つに絞る
- KPIは中間指標と最終指標に分ける。保存率とシェア率を重く見る
- フォロワー数は目標ではなく結果
- 投稿の型を3つ作り、続く本数で回す
- 計測の設計は投稿を始める前に行う
- 振り返りは投稿単位ではなく型単位、月1回
- 権限と炎上対応の手順は、始める前に決めておく
SNSは、続けた期間がそのまま効いてくる。続く設計にすることが、内容の良し悪しより先に来る。



