· HARUBOUYA · dataflow · 7 min read
小さく始めるデータ基盤。最初の1テーブルの決め方
全社をつなぐ大きな設計から入ると完成しません。毎週見る、手で作っている、止まっても困りません。この3条件で1本目を選びます。

データ基盤の話になると、いきなり大きな絵から始まりがちです。
社内の全システムを図に描いて、全部つないで、全社で使える環境を作ります。正しい方向ではあるのですが、この形で始めると、たいてい完成しません。
予算の承認に半年、要件定義に半年かかります。その間に事業が変わり、作っている途中で前提が崩れます。
先に1本だけ作るほうが、結果的に速く進みます。
全部揃えてから、が失敗する理由
理由は3つあります。
使う人が、完成するまで触れないことです。触っていないものに対して、要望は出てきません。出てくるのは完成後で、そこから作り直しになります。
金額が大きくなり、決裁が重くなることです。決裁が重いと、失敗できない空気ができます。失敗できない空気は、試すことを遅らせます。
そして、作っている側も学べないことです。1本目で分かることは多いのですが、全部を並行で作ると、その学びを反映する先がありません。
最初の1テーブルの条件1:毎週見る数字であること
月に1回しか見ない数字から始めないでください。
作ったものが正しいかどうかは、使われて初めて分かります。毎週見る数字なら、間違いが1週間で見つかります。月次だと、気づくのに1か月かかります。
候補としては、週次の会議で使っている数字、現場が毎朝確認している数字などです。この辺りが向いています。
条件2:いま手で作っている集計であること
すでに誰かが手作業で作っているものを選んでください。理由は2つあります。
1つは、正解があることです。手作業の結果と突き合わせれば、作ったものが合っているかをすぐ確認できます。ゼロから新しい指標を作ると、何が正しいか分からないまま進むことになります。
もう1つは、効果が測れることです。作業時間が減ったという数字が出れば、2本目の予算が通りやすくなります。
条件3:壊れても業務が止まらないこと
1本目は、必ずどこかで詰まります。連携が止まる、値がずれる、更新が間に合いません。
そのとき業務が止まる種類の数字を選んでいると、事故になります。在庫の引き当てや請求金額など、止まると実害が出るものは後回しにしてください。
選ぶべきは、止まっても「今週は手で作ろうか」で済むものです。1本目は練習も兼ねています。
1本目で決めておくこと
小さく作るといっても、次の4つは1本目から決めてください。あとから変えるのが大変な部分です。
- 名前の付け方のルール
- 更新の時刻と頻度
- 失敗したときの通知先
- その数字の定義(何を数え、何を除くか)
この4つは、2本目以降もそのまま使います。1本目で形を決めておけば、2本目からは作業が速くなります。
2つ目以降の広げ方
1本目が2か月ほど安定して動いたら、次に進みます。
広げ方は2方向あります。同じ数字の粒度を細かくする方向(全社の売上を、店舗別に分解する)と、別の数字を足す方向です。
おすすめは前者です。同じデータを使うので作業が早く、使う人にとっても連続性があります。別の数字に手を広げるのは、1本目のデータを使い切ってからで構いません。
5本くらいたまった時点で、共通する部分が見えてきます。そこで初めて、全体の設計を見直します。最初から全体を設計するより、この順番のほうが実態に合ったものになります。
小さく始めることの本当の利点は、費用ではありません。早く間違えられることです。
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