· HARUBOUYA · marketing · 11 min read

広告アカウントを引き継ぐときの確認項目

代理店の変更、担当の交代があったとき。アカウントを受け取った直後にやることは運用ではなく、権限と計測の確認です。触る前に見る項目を順に並べます。

資料を挟んで引き継ぎの打ち合わせをしている人のイラスト

代理店を変えました。担当が代わりました。広告アカウントを受け取ったその日から数字の責任を負うことになります。

このとき、いきなり入札や配信設定を触らないでください。先にやるのは、いまどうなっているかの確認です。触ってから壊れていたことに気づくと、原因が自分の変更なのか元からなのか分からなくなります。

確認は5つの順番で行います。

1. 権限と請求

技術より先にここを見ます。止まると運用そのものができません。

確認すること見るところ
アカウントの管理者が誰かアカウント設定のユーザー一覧
前任者・前代理店の権限が残っていないか同上。不要なら削除を依頼します
支払い方法の名義請求設定。前代理店名義だと切り替えが必要
請求書の送付先経理に届いているか
支払い上限の設定上限に達すると配信が止まります

支払い方法の名義が代理店のままになっていることがあります。契約終了と同時に配信が止まるため、最初に確認します。

2. 計測の状態

数字が信用できないと、何を判断しても意味がありません。

確認すること見るところ
成果として何を計測しているかコンバージョンの一覧
使われていない成果設定が残っていないか同上。重複計上の原因になります
計測する期間の設定クリック後何日まで数えるか
表示だけで成果に数える設定入っていると数字が跳ねます
タグが実際に動いているかサイトを開いてタグの検証画面で確認

同じ成果が2つ登録されていることがよくあります。片方が「主要な成果」として集計に入り、もう片方も入っていると倍で数えられます。

3. 配信の対象と除外

確認することよくある状態
配信する地域意図しない地域が入っています
配信する時間帯全時間になっています
除外キーワード一覧が空、または古いです
除外する配信面アプリ面が除外されていません
除外する顧客リスト既存顧客が除外されていません
年齢・性別の指定商材と合っていません

除外の設定は前任者しか把握していないことが多いです。なぜ除外したかの理由が残っていない場合は、消す前に1か月そのまま様子を見ます。

4. 自動入札の学習状態

入札を自動に任せている場合、設定を変えると学習がやり直しになります。

確認すること影響
どの入札方式か目標単価型か、予算消化型か
目標値がいくらに設定されているか変えると再学習が入ります
直近で設定を変えていないか変更直後は数字が不安定

受け取った直後に入札方式を変えません。最低2週間は現状のまま観察し、通常の変動幅を把握してから動かします。

5. 命名規則と構造

確認することなぜ見るか
キャンペーン名の付け方集計を自動化できるかが決まります
停止中のキャンペーンの数過去の施策が残っています
予算の配分どこに寄っているか
広告文・画像の入稿日何年も更新されていないものがあります

命名規則が揃っていない場合、その場で全部直さないでください。集計に必要な項目(媒体・商材・目的)だけを後から付けられるよう、対応表を別に作るほうが安全です。

引き継ぎ資料として受け取るもの

前任者や前代理店がいるうちに、次を依頼します。

- 直近12か月の実績(キャンペーン単位、月次)
- 成果地点の定義(何をコンバージョンとしているか)
- 除外設定の理由(キーワード・配信面・リスト)
- 過去に停止した施策と、その理由
- 使用中の管理用スプレッドシート・レポートの所在
- 制作物の元データ(画像・動画・LP)の保管場所

**「除外設定の理由」と「停止した施策の理由」**の2つが最も価値があります。これがないと、同じ失敗を1年かけてなぞることになります。

やること

手順1. 触る前に現状を記録する

設定画面をそのまま保存します。画面の画像でよいです。

記録するもの
キャンペーンの一覧と予算
成果設定の一覧
入札方式と目標値
除外設定の一覧

変更の前後を比べられる状態にしてから触ります。

手順2. 2週間は観察に使う

この間に変えるのは、明らかな誤りだけです。

変えてよいです変えません
重複している成果設定の停止入札方式
明らかに意図しない地域目標値
期限切れの広告文予算の大幅な増減
支払い方法の名義キャンペーン構造

手順3. 通常の変動幅を書き出す

2週間の日次データから、獲得単価と件数の上下の幅を出します。この幅を知らないと、変更後に良くなったのか誤差なのかが判断できません。

手順4. 変更は1つずつ

同じ週に複数を変えません。変えたら日付と内容を1行で記録します。

日付変えたもの変更前変更後理由

失敗例

失敗何が起きるか代わりにやること
受け取った直後に入札を変えます学習がやり直しになり、数字が乱れます2週間は観察に使います
支払い方法の名義を確認しません契約終了と同時に配信が止まります最初に確認します
重複した成果設定に気づきません成果が倍で計上されます成果の一覧を最初に見ます
理由の分からない除外を消します過去に止めた理由を踏み直します理由が分かるまで残します
命名規則をその場で全部直します過去との比較ができなくなります対応表を別に作ります
複数を同時に変えますどれが効いたか分かりません1つずつ変え、記録します
引き継ぎ資料を口頭で済ませます半年後に誰も理由を説明できません除外と停止の理由を文書でもらいます

まとめ

  • 受け取った直後にやるのは運用ではなく、権限・請求・計測の確認
  • 支払い方法の名義が前代理店のままだと、契約終了で配信が止まります
  • 同じ成果設定が2つ登録されていることがあります。倍で計上されます
  • 自動入札は触ると再学習が入ります。2週間は観察に使います
  • 除外設定は理由が分かるまで消さないでください
  • 引き継ぎで最も価値があるのは「除外の理由」と「停止した施策の理由」
  • 通常の変動幅を先に把握します。知らないと変更の効果を判断できません

最初にやることは、触る前に設定画面を保存することです。比較できる状態を作ってから運用に入ります。

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