· HARUBOUYA · marketing · 20 min read
CRMの打ち手に困ったら、この一覧から選ぶ
ECサイトの接客・通知施策を「何に効くのか」で7つに分類しました。カート落ち、お気に入り、クーポン、アプリ内接客、サポート、来店、運用の7つに分けて整理します。困ったときに上から順に当てられる形にしてあります。

「次の施策、何をやりますか」と聞かれて止まる場面があります。アイデアが出ないのではなく、思いつく順に並べても、何に効くのかが分からないことが原因です。
打ち手は世の中に出尽くしています。足りないのは「効かせたい場所」と「打ち手」をつなぐ表のほうです。ここでは、ECサイトで実際に使われている接客・通知施策を、効果の型ごとに分類して並べます。
なお本記事に載せた数値は、接客ツールのベンダーが公開している導入事例で報告されている水準です。企業名は伏せます。自社で同じ数字が出る保証はなく、当たりをつけるための目安として扱います。
効果の型は7つしかない
施策の名前は無数にありますが、効かせている場所は7つに収まります。
| 効果の型 | 効かせている場所 | 代表的な指標 |
|---|---|---|
| 1. 離脱を拾います | 買う直前でやめた人 | カート投入後の購入率 |
| 2. 見つけてもらいます | 探しているが出会えていない人 | 回遊率、商品詳細ページ到達率 |
| 3. 背中を押します | 迷って決めきれない人 | CVR、クーポン利用率 |
| 4. 使ってもらいます | 機能を知らない人 | 機能利用率、通知許諾率 |
| 5. 迷いを消します | つまずいて離れる人 | 問い合わせ件数、離脱率 |
| 6. 来店につなげます | オンラインで見て店で買う人 | 来店数、店舗売上 |
| 7. 運用を軽くします | 施策を出す側 | リリース所要日数、開発工数 |
自社の課題がどの行かを先に決めます。そのうえで、下の各節から打ち手を選びます。
1. 離脱を拾う
カートに入れた、お気に入りに入れました。そこで止まっている人を戻す施策です。着手コストが最も低く、効果が読みやすいため、最初に手をつける場所です。
| 打ち手 | 何に効くのか | 公開事例での水準 |
|---|---|---|
| カート内商品の値下げ・在庫変化を通知 | 迷っている間に条件が変わったことを伝え、再訪を作ります | 追加開発なしで実施可能 |
| カート内商品を使った着こなし・使い方を通知 | 「買った後の姿」を見せて購入を後押し | カート投入後の購入率が改善 |
| プッシュ通知とメッセージアプリの併用でリマインド | 通知を切っている人にも届く経路を確保 | 購入率が大きく向上 |
| アプリ起動時にカート内商品をポップアップ | 開いた瞬間に未購入分を思い出させます | 設定画面のみで実装可能 |
| お気に入り商品の値下げ・在庫・販売状況を通知 | 「欲しいが今じゃない」を買うタイミングに変えます | 購入への寄与を確認 |
| お気に入り登録のメリットをポップアップで訴求 | そもそも登録してもらい、後の通知対象を増やします | お気に入り登録率が5.5%向上 |
| 適切なタイミングでお気に入り機能の利用を促します | 商品を見た直後など、動機が高い瞬間に出します | お気に入り登録数が2倍 |
やること
- カート投入から24時間・72時間で、購入率がどこまで落ちるかを数えておきます
- 値下げ・在庫減の2つだけで通知を作ります(種類を増やさない)
- お気に入り登録数を先に増やします。通知の対象者がいないと施策自体が動きません
2. 見つけてもらう
商品はあるのに出会っていない状態を解消する施策です。
| 打ち手 | 何に効くのか | 公開事例での水準 |
|---|---|---|
| 行動データからリアルタイムにおすすめを表示 | 直前に見た文脈に合わせて提案 | レコメンド経由の購入率が24%増加 |
| 属性情報に応じたおすすめ商品案内 | 初回訪問でも外さない提案をします | クリック率 約23% |
| 購入意欲が高い人にだけレコメンドを通知 | 通知の数を増やさず成果だけ上げます | 意欲の高い層に絞った配信 |
| 人気キーワードをヘッダーに表示 | 検索語が浮かばない人に入り口を渡します | トレンド起点の検索を促進 |
| カートページに閲覧履歴を表示 | カートの保持期間が短い欠点を補います | 売上向上 |
| 再訪者に挨拶文と新着を表示 | 前回からの差分を提示して回遊させます | 回遊促進 |
| 地域と購買意欲で分けたイベント告知 | 行ける人にだけ届け、開封後の離脱を防ぎます | クリック率・新規獲得率が向上 |
やること
- サイト内検索のキーワードを1か月分書き出します。上位20語が「見つかっていないもの」
- その20語に対して、着地するページが用意されているかを確認
- 足りない導線を、レコメンドではなく静的なリンクで先に埋めます
レコメンドは最後です。導線がない状態でレコメンドを入れても、精度の議論に時間を取られるだけになります。
3. 背中を押す
価格・期限・特典で決断を早める施策です。効きは大きいですが、利益を削ります。
| 打ち手 | 何に効くのか | 公開事例での水準 |
|---|---|---|
| 保有クーポンをサイト訪問中に告知 | 持っていることを忘れている人に使わせます | クーポン利用者数が140%に増加 |
| クーポン・ポイントの失効前リマインド | 期限という理由で来店・再訪を作ります | 失効防止と購入促進 |
| セール終了までのカウントダウン表示 | 「後で」を無くします | 売上150%UP |
| セール表記をブランド横断の導線に集約 | 探し回らせません。回遊とCVRを同時に上げます | CVRが200%UP |
| くじ結果で割引額が変わるクーポンを連日付与 | 毎日開く理由を作ります | 利用率が過去比 約1.5倍 |
| ルーレットなどで再訪のきっかけを作ります | 買う予定がない日にも訪問させます | 訪問数と注文単価が増加 |
| 対象商品だけタイムセール表示を差し込みます | 全ページ改修せずに販促を回します | 1週間でリリース |
やること
- 値引き施策は「粗利率の下限」を先に決めます。決めずに始めると止められません
- 失効前リマインドから着手します。追加の値引きが発生しないため
- カウントダウンは終了時刻を実際に守ります。延長すると次から効きません
4. 使ってもらう
機能はありますが知られていない状態を解消する施策です。通知許諾やログインは、他の全施策の土台になります。
| 打ち手 | 何に効くのか | 公開事例での水準 |
|---|---|---|
| 通知のメリットを訴求し設定画面へ誘導 | 通知施策の母数そのものを増やします | 設定画面への遷移率 約16% |
| 適切なタイミングで通知許諾を取ります | 初回起動の一括許諾より通りやすいです | 許諾率の改善 |
| ログインのメリットを訴求して誘導 | 個人に紐づくデータを取れる状態にします | 約31%がログインを完了 |
| お知らせ枠を一人ひとり出し分けます | 既存の枠を使うため追加開発が不要 | お知らせ経由の収益が2倍以上 |
| 複数スライドで機能チュートリアル | 説明を分割して読み切らせます | 50%以上を対象ページへ誘導 |
| 未利用者にフォローガイドを表示 | 使っていない人だけに絞って出します | 機能利用の促進 |
| スタンプラリーなど継続来訪の仕掛け | 毎日開く習慣を作ります | リテンション率向上 |
| 商品ページで便利機能を紹介 | 使う場面の直前に案内します | 回遊の促進 |
やること
- 通知許諾率とログイン率を先に測ります。この2つが全施策の上限になります
- 許諾を求める画面は、初回起動ではなく「お気に入り登録の直後」に出します
- チュートリアルは3画面までにします。それ以上は読まれません
5. 迷いを消す
つまずきを解消して離脱と問い合わせを減らす施策です。売上には直結しにくいですが、運用コストが目に見えて下がります。
| 打ち手 | 何に効くのか | 公開事例での水準 |
|---|---|---|
| よくある質問をタイミングを見て表示 | 聞く前に解決させます | 問い合わせを90%削減 |
| 問い合わせフォームにサポート表示を設置 | 送信直前に自己解決させます | 問い合わせを約17%減少 |
| 検索の打ち間違い時に解決方法を表示 | 「0件ヒット」で終わらせません | ページ上のつまずきを解消 |
| ポップアップとサポート表示の併用 | 案内と解決を1画面で完結させます | 購入促進 |
| 質問せずに去る人を拾う導線 | 声を上げない離脱層を救済 | 自己解決と売上向上を両立 |
| 購買意欲をスコアで判定しチャットへ誘導 | 人を割く相手を絞ります | CVRが+107%上昇 |
| レビュー投稿の促進 | 次の人の判断材料を増やします | レビュー起点の売上向上 |
やること
- 問い合わせ内容を1か月分、件数の多い順に並べます
- 上位5件をFAQ化し、該当ページにだけ表示します(全ページに出さない)
- 件数が減ったかを月次で確認します
6. 来店につなげる
オンラインの行動を店舗に流す施策です。
| 打ち手 | 何に効くのか | 公開事例での水準 |
|---|---|---|
| 位置情報を使った来店促進 | 店舗の近くにいる人にだけ案内 | 最小限の開発工数で実現 |
| 顧客データを統合しオンラインと店舗を一気通貫で設計 | チャネルごとにバラバラな施策を統合 | 個別最適化を実現 |
| 診断コンテンツと接客担当のマッチング | オンラインで相性の良い担当者を決めます | 担当者マッチングを実現 |
| 販売スタッフの投稿と接客ツールを連携 | スタッフの提案を出し分けに使います | 好みとの出会いを創出 |
やること
- 店舗コードと会員IDが同じテーブルで結合できるかを最初に確認します
- 結合できない場合、位置情報施策から着手する(会員紐付けが不要なため)
7. 運用を軽くする
打ち手そのものではなく、打ち手を出す速度を上げる施策です。長期で最も効きます。
| 打ち手 | 何に効くのか | 公開事例での水準 |
|---|---|---|
| 配信対象の抽出を画面操作だけで行います | 都度の依頼と待ち時間をなくします | 抽出工数の削減 |
| 配信から振り返りまでを1つのツールに集約 | 数値を集め直す作業をなくします | 全体を俯瞰した改善が可能に |
| バナーを管理画面から出し分けます | リリース作業なしで差し替えます | 開発工数を大幅削減 |
| 画面の一部要素を書き換えてA/Bテスト | 開発を待たずに仮説検証します | 複数パターンの検証が可能に |
| ボタンの文言・色を人によって変えます | 最小工数で当たりを探します | 担当者のみで検証可能 |
| 季節企画や複雑な画面遷移を担当者だけで作ります | 開発の空きを待ちません | 2週間でリリース |
| アクセス元に応じて画像を出し分けます | 広告とサイトの訴求を揃えます | チャネル別の最適化 |
| 埋め込み型の接客で動的表示を実現 | ポップアップを嫌う画面でも出せます | 低コスト・短期間で実現 |
やること
- 直近3か月で「開発待ち」になった施策を数えます
- そのうち画面の書き換えだけで済むものを分けます
- 分けた分を、開発を通さない方式に寄せます
失敗例
| 失敗 | 何が起きるか | 代わりにやること |
|---|---|---|
| 効果が大きい施策から手をつけます | 通知許諾率が低く、母数が足りずに終わります | 土台(許諾・ログイン・お気に入り)を先に上げます |
| ポップアップを複数同時に出します | 重なって表示され、どちらも読まれません | 1画面1つ。優先順位を先に決めます |
| 全ページにFAQを出します | 邪魔になり、離脱が増えます | 問い合わせの多いページにだけ出します |
| 効果測定の指標を後から決めます | 都合の良い数字を選んでしまいます | 実施前に主指標を1つ宣言します |
| 値引き施策を止められなくなります | 定価で買う人がいなくなります | 開始時に終了条件と粗利下限を決めます |
| 公開事例の数値をそのまま目標にします | 前提が違うため未達が続きます | 自社の現状値から改善幅で置きます |
まとめ
- 打ち手はアイデアではなく、効果の型7つから選ぶもの
- 最初に着手するのは「離脱を拾う」です。着手コストが低く効果が読みやすいです
- 通知許諾率・ログイン率・お気に入り登録数は、他の全施策の上限になる土台
- 値引き系は効きが大きいぶん、終了条件と粗利の下限を先に決めます
- 「運用を軽くする」は地味ですが、打ち手を出せる回数そのものを増やします
- 公開事例の数値は目安です。自社の現状値からの改善幅で目標を置きます
迷ったら、7つの表のうち自社の課題に近い行を1つ選び、その節の「やること」を上から実行します。
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