· HARUBOUYA · marketing · 12 min read
リードスコアリングを、実際に使える形にする
点数を付けても営業が見ません。原因は点の付け方ではなく、点数が何を意味するかが決まっていないことです。設計から見直しまでを順に書きます。

見込み顧客に点数を付ける仕組みを入れました。資料ダウンロードで5点、価格ページの閲覧で10点。合計80点で営業へ渡します。
半年後、営業は点数を見ていません。これがよくある結末です。
原因は点の付け方ではありません。その点数が何を意味するかが決まっていないことです。80点と言われても、次に何をすればよいか分からなければ、見る理由がありません。
問題:点数が行動に結びついていない
| よくある状態 | 何が起きるか |
|---|---|
| 点の付け方が感覚で決まっています | 高得点でも受注しません。信用されなくなります |
| 点数に対応する行動がありません | 見ても次の一手が決まりません |
| 減点の仕組みがありません | 古いリードが高得点のまま残ります |
| 誰も見直していません | 商材が変わっても点数はそのまま |
**最初に決めるのは、点数ではなく「何点でどうするか」**です。
先に決める3つ
1. 点数の段階と、それぞれの行動
| 段階 | 点数 | 誰が | 何をするか | いつまでに |
|---|---|---|---|---|
| A | 80点以上 | 営業 | 電話します | 当日中 |
| B | 50〜79点 | 営業 | メールで打診します | 3営業日以内 |
| C | 20〜49点 | マーケ | 情報提供を続けます | — |
| D | 20点未満 | — | 配信対象のまま。個別対応しません | — |
「誰が」「何を」「いつまでに」の3つが埋まらない段階は作らないでください。段階を細かくしすぎるのも同じ理由で失敗します。3〜4段階で足ります。
2. 上限の件数
A段階に毎日50件入ると、営業は処理できません。
営業1人が1日に対応できる件数 × 人数 = A段階の1日の上限上限から逆算して、しきい値を決めます。点数を先に決めてから件数が溢れる、という順番にしません。
3. 見直しの頻度
3か月に1回、受注との対応を確認します。ここを決めておかないと、誰も直しません。
点の付け方
点数は2種類に分けます。混ぜると意味が分からなくなります。
| 種類 | 見るもの | 例 |
|---|---|---|
| 属性の点 | 相手が誰か | 業種、規模、役職、地域 |
| 行動の点 | 何をしたか | 資料請求、価格ページ閲覧、再訪、問い合わせ |
属性の点
| 項目 | 点 | 考え方 |
|---|---|---|
| 対象の業種 | +20 | 既存顧客の多い業種 |
| 対象外の業種 | −30 | 提供できない業種は大きく引きます |
| 規模が合います | +15 | 想定する導入規模 |
| 決裁に関わる役職 | +15 | 部長以上など |
| 個人のメールアドレス | −20 | 法人向けの場合 |
| 競合の社名を含みます | −50 | 対象外にします |
対象外を大きく引きます。加点だけだと、対象外の相手が行動量で上位に来ます。
行動の点
| 項目 | 点 | 考え方 |
|---|---|---|
| 問い合わせフォーム送信 | +40 | 最も強いです |
| 価格ページの閲覧 | +20 | 検討段階 |
| 導入事例の閲覧 | +10 | |
| 資料ダウンロード | +10 | |
| メールのリンククリック | +5 | |
| メール開封 | +1 | ほぼ意味がありません。0でもよいです |
| 採用ページの閲覧 | 0 | 求職者の可能性 |
最後の2行が要点です。開封や、購買と関係のないページを加点しません。加点すると、関心のない相手の点数が上がります。
減点と失効
| 仕組み | 内容 |
|---|---|
| 時間による減点 | 30日行動が無ければ行動の点を半分にします |
| 失効 | 90日行動が無ければ行動の点を0にします |
| 属性の点 | 減らさない(相手が誰かは変わりません) |
行動の点だけを減らします。これがないと、2年前に1回だけ資料請求した人が高得点のまま残ります。
点の根拠をどう決めるか
感覚で決めません。過去の受注から逆算します。
1. 直近1年の受注案件を50件集める
2. 受注前にどんな行動があったかを並べる
3. 受注しなかった問い合わせ50件でも同じことをする
4. 両者で頻度が大きく違う行動を探す
5. 差の大きい行動に高い点を付ける受注と非受注の両方を見てください。受注だけを見ると、単に多くの人がやる行動が上位に来ます。
50件もない場合は、営業に「受注した相手に共通していたこと」を3つずつ挙げてもらいます。聞き取りでも、感覚で決めるよりはるかに良いです。
やること
手順1. 営業と一緒に段階を決める
マーケ側だけで決めません。対応する人が「これなら動ける」と言う形にします。
決める場で聞くのは3つです。
- 1日に何件なら対応できるか
- 電話してよい相手の条件は何か
- いま何を見て優先順位を決めているか
3つ目の答えが、そのまま点数の材料になります。
手順2. 最初は5項目だけで始める
| 種類 | 項目数 |
|---|---|
| 属性 | 3項目(対象業種/規模/対象外の除外) |
| 行動 | 2項目(問い合わせ/価格ページ) |
細かく作ると、どの項目が効いているか分からなくなります。増やすのは、見直しのときでよいです。
手順3. 1か月は営業に渡さず並べるだけ
いきなり運用に乗せません。1か月、点数を付けるだけにして次を見ます。
| 確認すること | 判断 |
|---|---|
| A段階の件数 | 上限を超えていないか |
| A段階の顔ぶれ | 営業が見て「電話したい相手」か |
| 既存顧客が混ざっていないか | 除外の設定漏れ |
A段階の顔ぶれを営業に見せます。「この人には電話しない」が多ければ、点の付け方が合っていません。
手順4. 3か月ごとに受注と突き合わせる
| 段階 | 渡した件数 | 商談化 | 受注 | 受注率 |
|---|---|---|---|---|
| A | 60 | 22 | 8 | 13.3% |
| B | 180 | 25 | 5 | 2.8% |
| C | 400 | 6 | 1 | 0.3% |
A・B・Cの受注率が階段になっていれば機能しています。AとBが逆転していたら、点の付け方を直します。
失敗例
| 失敗 | 何が起きるか | 代わりにやること |
|---|---|---|
| 点数だけ決めて、行動を決めません | 営業が見なくなります | 段階ごとに「誰が・何を・いつまでに」を書きます |
| しきい値を先に決めます | A段階が溢れて処理できません | 対応できる件数から逆算します |
| 加点だけで減点がありません | 対象外の相手が上位に来ます | 対象外を大きく引きます |
| メール開封に加点します | 関心のない相手の点が上がります | 0点でよいです |
| 時間による失効がありません | 古いリードが高得点のまま残ります | 行動の点だけ減らします |
| 感覚で点を決めます | 高得点でも受注せず、信用されなくなります | 受注と非受注の差から決めます |
| 最初から20項目作ります | どれが効いているか分かりません | 5項目で始めます |
| 一度作って見直しません | 商材が変わっても点数はそのまま | 3か月ごとに受注と突き合わせます |
まとめ
- 見られなくなる原因は点の付け方ではなく、点数が行動に結びついていないこと
- 段階ごとに「誰が・何を・いつまでに」を書きます。埋まらない段階は作らないでください
- しきい値は対応できる件数から逆算します
- 属性の点と行動の点を分けます。対象外は大きく引きます
- メール開封に加点しません。関心のない相手の点が上がります
- 行動の点だけ時間で減らします。属性の点は減らしません
- 点の根拠は、受注と非受注の差から決めます
- 3か月ごとに段階別の受注率を見ます。階段になっていれば機能しています
最初にやることは、営業に「いま何を見て優先順位を決めているか」を聞くことです。その答えが、そのまま最初の5項目になります。
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