· HARUBOUYA · business · 7 min read
データ基盤は内製か外注か。判断の分かれ目は3つだけ
費用やスピードを並べても結論は出ません。実際に効くのは「誰が直すか」「仕様が決まっているか」「止まったときに困るか」の3つです。

「データをちゃんと整理したい。ただ、自分たちでやるべきか、外に出すべきか決められない」
この相談をよく受けます。そして判断が止まっている理由は、たいてい同じです。比較する軸が多すぎることです。
費用、スピード、社内のスキル、セキュリティ、将来の拡張性などです。全部を並べると、どれも一長一短で決まりません。
実際に効いてくる軸は3つだけです。
分かれ目1:作ったあと、誰が直すか
データ基盤は作って終わりではありません。元のシステムが変われば連携が止まりますし、事業が変われば見たい数字も変わります。月に1回は何かしら手を入れることになります。
内製が向くのは、直す人が社内にいて、かつその人の時間が確保されている場合です。ここは「できる人がいる」だけでは足りません。他の業務と兼任で月に数時間しか取れないなら、実質いないのと同じです。
外注が向くのは、直す人がいない場合です。あるいは、いても時間が取れない場合です。
よくある失敗は、作るところだけ外注して、運用を引き継がずに終わることです。半年後に、誰も触れないブラックボックスが残ります。
分かれ目2:仕様が決まっているか、決めるところからか
「何を、どの粒度で、いつ見たいか」が決まっていれば、作業は早く終わります。決まっていない場合、作業の大半は設計と合意形成に消えます。手を動かす時間より、会議の時間のほうが長くなります。
内製が向くのは、仕様が決まっていて、あとは作るだけの状態です。社内の人のほうが業務を知っているぶん、速く正確に作れます。
外注が向くのは、何を見るべきかの整理から必要な場合です。社内の人だと、部署間の利害が絡んで決まらないことがあります。外部の人が「どちらの定義でいきますか」と聞くほうが話が前に進む場面は、実際にあります。
分かれ目3:止まったときに困る度合い
月次レポートが1日遅れても誰も困らない業務と、朝9時に数字が出ていないと現場が動かない業務とでは、必要な作りがまったく違います。
前者なら、多少雑でも動けば十分です。後者は、失敗を検知する仕組み、再実行の手順、連絡体制まで含めて設計が必要になります。当然、かかる時間も費用も変わります。
内製で始めるなら、まずは止まっても困らない範囲から始めてください。いきなり基幹の数字を扱うと、事故が起きたときに戻せません。
3つを組み合わせた4つのパターン
全部内製。直す人がいて、仕様も決まっていて、止まっても困りません。この3つがそろうなら、外に出す理由はありません。小さく作って、社内にノウハウを残すのが一番安く済みます。
設計だけ外注、実装は内製。手を動かせる人はいますが、何を作るべきかが定まらない場合です。設計書と指標の定義を外部と一緒に作り、実装は社内でやります。費用は一番抑えられる形になります。
実装まで外注、運用は内製。作る時間がありませんが、運用は引き取れる場合です。この形にするなら、契約の時点で「引き継ぎ資料の作成」と「引き継ぎ後の質問対応期間」を明記してください。ここを口約束にすると、ほぼ引き継がれません。
設計から運用まで外注。社内に担当を置けない場合です。月額での保守契約になります。コストは高くなりますが、担当者の退職で止まるリスクを外に出せます。
一つだけ選ぶなら
3つのうち、最初に確かめてほしいのは分かれ目1です。
「作ったあと、誰が直すのか」。ここが決まっていない状態で始めた基盤は、内製でも外注でも、同じように放置されます。逆にここさえ決まっていれば、残り2つは進めながら調整できます。
会議で決めるのは、まずこの1問だけで構いません。名前が挙がらないなら、外に出すことを検討する段階です。
参考になったら、いいねを押してください。





