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Looker Studio初心者に贈る「これだけは絶対するな」

Looker Studioは作り始めると動くが、あとで壊れる作り方があります。最初に避けるべき9つを、代わりの手順つきで整理します。

データの分析と可視化を表すイメージ

Looker Studioは触ればすぐグラフが出ます。そこが良いところで、そこが落とし穴でもあります。とりあえず作ったダッシュボードは、半年後に誰も直せなくなります。

作り始める前に避けておくべきことを並べます。どれも、後から直すのに何倍も手間がかかるものです。

1. 生のテーブルを直接つながない

もっとも多い失敗です。BigQueryのテーブルをそのままデータソースにすると、次の問題が起きます。

  • 元のテーブルの列名が変わると、全部のグラフが壊れます
  • 表示するたびに全期間をスキャンし、課金額が膨らみます
  • 同じ集計ロジックを、グラフごとに何度も書くことになります

代わりにやること

集計済みのビューかテーブルを1つ作り、それをつなぎます。

[生データ]
   ↓  日次で集計
[レポート用のテーブル/ビュー]   ← Looker Studio はここだけを見る
   ↓
[ダッシュボード]

この1枚を挟むだけで、元のテーブル構成が変わってもダッシュボードは無事で済みます。ロジックの修正もSQL側の1箇所になります。

2. カスタムクエリをグラフに直接書かない

Looker Studioには「カスタムクエリ」でSQLを書き込める機能があります。便利ですが、ダッシュボードの中にSQLが埋まります。

  • 誰が何を書いたか分からなくなります
  • 同じようなSQLがダッシュボードの数だけ増えます
  • バージョン管理ができません

代わりにやること

SQLはデータベース側にビューとして置きます。Looker Studioからはビューを参照します。SQLの履歴はデータベース側で管理できます。

暫定的にカスタムクエリを使う場合は、先頭にコメントで目的と作成日を書きます。

3. 計算フィールドに全角文字を混ぜない

これは実際によく踏みます。計算フィールドやSQLのエイリアスに全角の英数字・記号・スペースが混ざると、原因が分かりにくい構文エラーになります。

見た目では全角と半角の区別がつかないため、探すのに時間がかかります。

代わりにやること

対象ルール
フィールド名(内部)半角英数とアンダースコアのみ
表示名日本語でよい(別に設定できます)
SQLのエイリアス必ず半角

日本語を使いたいのは「表示名」の側です。内部の名前は半角で統一します。

4. 日付を文字列のまま扱わない

20250716 や 2025/07/16 のような文字列を日付として使うと、期間フィルタも日付の比較も効きません。

代わりにやること

データソース側でDATE型に変換しておきます。Looker Studio側の変換でもできますが、元のデータで直したほうが後が楽です。

-- 例: 文字列を日付に直して持っておく
SELECT
  PARSE_DATE('%Y%m%d', order_date_str) AS order_date,
  ...

期間フィルタを付けるグラフは、参照している日付フィールドを1つに揃えます。グラフごとに違う日付を見ていると、数字が合わない原因になります。

5. 全期間を既定の表示期間にしない

既定の期間を「全期間」にすると、開くたびに全データを読みます。BigQueryは読んだ量で課金されるため、人が見るだけで費用が増えます。

代わりにやること

  • 既定の期間は直近28日など短く設定します
  • 長期の推移は、月次に集計したテーブルを別に用意してそこから見ます
  • BigQuery側でパーティションを設定し、日付で絞れるようにします
  • データソースの設定でキャッシュを有効にします

費用は最初は気になりません。テーブルが育ってから効いてきます。

6. グラフを先に作らない

空のキャンバスを前にすると、グラフから作り始めてしまいます。結果、見られない数字が並んだダッシュボードができます。

代わりにやること

紙かテキストで先に1枚書きます。

誰が見るか  : 営業部の週次会議
何を決めるか: 今週どの商材に人を寄せるか
見る数字    : 商材別の商談数(前週比)、受注率
判断の基準  : 前週比80%を下回ったら要因を確認する
更新頻度    : 毎週月曜の朝

「何を決めるためか」が書けない数字は載せません。 これだけでグラフの数が半分になります。

7. 1ページに詰め込まない

スクロールが必要なほど詰め込むと、結局誰も下まで見ません。

代わりにやること

ページ役割
1ページ目結論だけ。主要3〜5指標と前期比
2ページ目以降内訳、詳細、明細

1ページ目は画面1枚に収めます。会議で開いた瞬間に状況が分かる状態にします。

8. 前提を書かずに配らない

数字の問い合わせの大半は、前提が書かれていないことから来ます。

代わりにやること

ダッシュボードの片隅にテキストで注記を置きます。

集計基準: 注文日ベース
対象    : キャンセル・返品を除く
更新    : 毎日 6:00(前日分まで)
除外    : 社内IPからのアクセス
問い合わせ先: (担当部署)

これがあるだけで「この数字は何を含んでいるのか」という質問が減ります。作った本人は自明だと思っていますが、見る人には分かりません。

9. 共有範囲を確認せずにリンクを渡さない

Looker Studioの共有は、レポートの共有設定とデータソースの認証方法の2つで決まります。ここを理解せずに配ると、事故になります。

設定誰のアクセス権でデータを読むか
所有者の認証情報作成者の権限。見る人は権限不要
閲覧者の認証情報見る人自身の権限

「所有者の認証情報」のままリンクを広く配ると、本来アクセス権のない人が中身を見られる状態になります。

代わりにやること

  • 配る前に、データソースの認証方法を確認します
  • リンクを知っている全員に公開する設定は避け、個別またはグループ単位で付与します
  • 社外に見せる場合は、必要な列だけに絞った専用のビューを作ってつなぎます
  • 個人情報を含む列は、ダッシュボード用のビューに入れません

見えないようにグラフから外すだけでは不十分です。データソースに含まれていれば、操作で取り出せます。

やりがちな失敗のまとめ

やってしまうことあとで起きること代わりにやること
生テーブルを直接つなぎます列名変更で全滅、課金増集計ビューを挟みます
カスタムクエリを埋め込みますSQLが追えなくなりますDB側にビューを置きます
全角文字を混ぜます原因の分かりにくい構文エラー内部名は半角のみ
日付を文字列で扱います期間フィルタが効きませんDATE型に変換して持ちます
既定を全期間にします開くたびに課金直近28日+パーティション
グラフから作ります見られない数字が並びます目的を1枚書いてから作ります
1ページに詰め込みます下まで見られません1ページ目は結論だけ
前提を書きません数字の問い合わせが続きます注記を置きます
共有設定を確認しません権限のない人が見られます認証方法と共有範囲を確認

最初にやること

  1. 目的と見る人を1枚書きます
  2. 集計済みのビューを1つ作る(内部名は半角で統一)
  3. 日付をDATE型にし、パーティションを設定します
  4. 既定の期間を直近28日にします
  5. 1ページ目に主要指標だけを置きます
  6. 注記を書きます
  7. 共有前に認証方法と共有範囲を確認します

この順でやると、あとから直す作業がほとんど発生しません。 逆の順でやると、半年後に作り直しになります。

まとめ

  • Looker Studioの失敗は、作り方ではなく作り始め方にあります
  • 生データに直接つながず、集計ビューを1枚挟みます
  • 内部の名前は半角のみにします。全角は表示名だけ
  • 既定の期間とパーティションで費用を抑えます
  • グラフより先に目的を書きます
  • 配る前に共有範囲とデータソースの認証方法を確認します

グラフはあとから何度でも足せます。土台の作り方だけは、最初に決めておきます。

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