· HARUBOUYA · business · 11 min read

定例レポートを自動生成する仕組み

毎週同じ集計に数時間かけています。自動化の前に決めるのは技術ではなく、誰が何を判断するためのレポートかということです。型の決め方から配信まで書きます。

メールとクラウドからサーバーを経てレポートが配信される図

週次レポート、月次報告、日次のタスク状況などです。同じ形のものを毎回手で作っている状態は、時間が減らないだけでなく作るたびに数字がずれます。

自動化そのものは難しくありません。難しいのは、自動化してよい形にレポートを整えるほうです。順に書きます。

自動化の前に決めること

誰が、何を判断するためのレポートか

ここが決まっていないレポートは、自動化しても読まれません。

読む人見たいもの出す粒度
現場の担当自分が次に何をするか明細。個別の案件名まで
部門の責任者想定とずれているものはどれか指標と前週比。ずれた項目だけ理由
経営事業の数字が計画に対してどうか集計値のみ。ページは1枚

1つのレポートで3つを満たそうとしません。読む人が違えば、必要な粒度も違います。分けたほうが結局は短くなります。

載せない項目を決める

自動化すると項目を足すのが簡単になるため、放っておくと肥大します。

最初に「この指標が動いたら、誰が何をするか」を書けない項目は載せません。書けない項目は、見ても行動が変わりません。

仕組み

情報源(複数)
  ↓  決まった時刻に取りに行く
集約(1か所にまとめる)
  ↓  決めた型に当てはめる
整形(文章と数値を組み立てる)
  ↓
配信(チャットに投稿/文書として保存)
段階使うもの
情報源集計済みのテーブル、タスク管理ツール、フォームの回答
集約データウェアハウスの1テーブル、または1つのファイル
整形決まった型のテンプレートに数値を差し込みます
配信チャットへの投稿、または文書ツールへの保存
起動スケジューラで時刻を指定

要点は、集約を1か所に寄せることです。情報源が3つあっても、整形の前に1つの形にしておけば、あとの処理は1本で済みます。

型を先に決める

自動生成で一番重要なのが型です。毎回同じ順番、同じ見出しで出します。

■ 今週の数字
 主要指標   今週 / 先週 / 前週比
 (3〜5項目まで)

■ 想定とずれたもの
 ・項目名:数値。ずれた理由(1行)

■ 次の一手
 ・やること:担当。期限

■ 参照
 元データの更新時刻、集計期間

「参照」を必ず入れます。いつ時点の数字かが書かれていないレポートは、後から検証できません。

AIに任せる部分と、任せない部分

部分任せるか理由
数値の集計任せません計算はSQLや集計処理で確定させます。生成に混ぜません
数値の並べ替え・前週比任せません同上
変化の説明文下書きだけ任せます事実の列挙は速いです。ただし原因の断定はさせません
次の一手任せません判断は人がします

数字をAIに作らせません。集計済みの数値を渡し、文章の形に整えるところだけを任せます。ここを混ぜると、それらしいけれど誤った数字が出ます。

渡し方は、集計結果を表の形で渡し、「この表の内容だけを使って、変化が大きい項目を3つ挙げる。原因は推測せず、数値の事実だけを書く」と指示します。

やること

手順1. いまの手作業を1回書き出す

自動化する前に、いま何をしているかを順番に書きます。

#作業所要情報源
1管理画面から数値をコピー20分管理画面
2表計算ソフトに貼り付け10分—
3前週比を計算10分—
4文章を書きます40分—
5投稿します5分—

この表を作ると、自動化する順番が決まります。時間がかかっている工程からではなく、毎回同じことをしている工程から自動化します。上の例なら1〜3です。

手順2. 1項目だけ自動化する

全部を一度に作らないでください。まず1つの指標だけを、決まった時刻に投稿するところまで通します。

  1. 集計するSQLを1本書き、結果を1行で返す形にします
  2. スケジューラで毎週の実行時刻を設定します
  3. 結果を自分だけに送ります

ここまでで、仕組みの骨格ができます。

手順3. 配信先を1人にして2週間試す

いきなり全員に送らないでください。自分だけに2週間送り、次を確認します。

確認すること見るところ
数字が手作業と一致するか手で作ったものと突き合わせます
時刻どおりに届くか届かなかった日がないか
読んで行動が決まるか読んだあと、何かをやろうと思えるか

3つ目が一番大事です。読んでも行動が決まらないなら、項目の選び方が間違っています。

手順4. 止まったことに気づける状態にする

自動化の失敗で多いのが、止まったまま誰も気づかないことです。

  • 失敗したときだけ通知します(成功は通知しない)
  • 通知には、どのレポートが・いつの実行で失敗したかを入れます
  • 週に一度、前回の配信時刻を目視で確認します

失敗例

失敗何が起きるか代わりにやること
全部を一度に自動化しますどこで壊れたか分からず、結局手作業に戻ります1項目ずつ通します
読む人を決めずに作ります粒度が定まらず、誰にも刺さりません読む人を1人に決めて設計します
数値の生成をAIに任せますそれらしい誤った数字が出ます集計は確定させ、文章化だけ任せます
集計期間を書きません後から検証できません「参照」欄に期間と更新時刻を入れます
項目を足し続けます長くなり、読まれなくなります行動が決まらない項目は載せません
止まっても通知しません数週間気づきません失敗時だけ通知します
成功も通知します通知に埋もれて失敗を見落とします成功は記録だけ残します

まとめ

  • 自動化の前に決めるのは技術ではなく、誰が何を判断するためのレポートか
  • 1つのレポートで複数の読み手を満たそうとしません。分けたほうが短くなります
  • 情報源が複数でも、集約を1か所に寄せるとあとの処理が1本で済みます
  • 型を先に決めます。「参照」欄に集計期間と更新時刻を必ず入れます
  • 数字はAIに作らせません。集計済みの値を渡し、文章化だけ任せます
  • 1項目ずつ通し、自分だけに2週間送って確かめてから広げます
  • 失敗時だけ通知します。成功通知は失敗を埋もれさせます

最初の一歩は、いまの手作業を5行で書き出すことです。自動化すべき工程は、その表を見れば決まります。

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